「本に書きれなかった」3つのお話 その2
前回に引き続き、本で書き切れなかったことを紹介します。
①振り返りをすること
②会議の雰囲気を作ること
③対話を促すこと
前回は「①振り返りをすること」について書きましたが、。
<2016-01-28 - 書き切れなかった話 「振り返りをする」こと>
今回はこれです。
②会議の雰囲気を作ること
プロジェクトやトレーニングで、「良い会議において何が重要だと思いますか?」と聞くと、上位に「議論が活発であること」がランクインしてきます。
何かを決める場であるはずなのに、誰も発言しない会議だったとしたらどうだろうか?
・偉い人がものすごい怖い顔をしていたら、発言しづらくてしかない
・発言したそばから否定されたら次に発言しようとは思わない
・方向性を決めたいのに、誰も何も言わなかったら意思決定の質がさがる
活発に議論するためには、会議の雰囲気が極めて重要な要素なんです。参加する人の特性による部分もありますが、それ以上に雰囲気が大事。
ところが「活発な議論の場を作る」工夫はほとんどされていないのが実態です。
僕らが何をしているのかちょっと紹介したい。
A) 発言を肯定する
僕がファシリテーションする時は、とにかく発言を肯定するようにしている。
発言の中身がイケてなくたっていいんです。
発言してくれた事に感謝の意を示す。これが大事。
「その観点はなかったです。さすがです。」
「なるほど、確かに新しい視点ですね」
「ありがとうございます。良いコメントいただきましたね」
でいい。こうやって肯定的な雰囲気を作るだけで、会議の活発度合いが全然変わってくる。
よくあるのは発言に対してだれも何も言わないケース
「xxを考えないとダメじゃない?」→しーん・・・
「xxについては、どういう結論になったんだっけ?」→しーん・・・
という感じ。これではどんどん発言しづらくなっていく。
(行動分析学の世界では、行動随伴性という概念でこの辺りのことが語られている。人の行動を上手に促すための理屈を説明してくれているので、興味がある方は勉強してみると面白い 行動分析学マネジメント-人と組織を変える方法論 | 舞田 竜宣, 杉山 尚子 | 本 | Amazon.co.jp この辺りがおすすめ)
こうやって、ちゃんと肯定的な反応を示すこと自体は、難しくないはずだ。
ファシリテーターでなくても「確かにな」とか「なるほど」とつぶやくだけでも良い。
もっと言えば「うなずく」だけでも良いのだ。
参加者全員が会議の場を盛り上げる工夫をするのが大事。ちょっとしたことでいい。
b) アイスブレイカーをする
会議の冒頭に意図的な雑談タイムを仕掛ける。南極などで氷を砕いて進む船、砕氷船から取ってIcebreakerと呼んでいる
場の雰囲気を砕くのだ。ちょっとした話題を振って、ひとりずつ話してもらう。
こうすることで発言のハードルが下がる。
例えば、
「買ってよかった家電を教えてください」
「おすすめの本をおしえてください」
という感じで5分くらい雑談するのだ。
間違っても「手を繋いで輪を作りましょう」などをやらないこと。あくまで雑談できればいい。
やってみないとその効用はわかりづらいのだが、一度その効果を知ってしまうと
病み付きになる。ケンブリッジのお客さんからは年中こんな声を聞きます。
「Icebreaker集もらえませんか?」とか
「研修でIcebreakerやりました!」とか
「部門内の会議でIcebreakerやりました」
「やると、雰囲気がグッとよくなるんだよね」
ポイントは肩肘張らずにやることですね。
上手いこと言おうとか、爆笑をさらおうとか思っちゃダメです。あくまで雑談。
参加者の人となりがみえたり、以外な一面が発見できたり、そんなテーマで良い
んです。
ケンブリッジが普段使っているIcebreaker集の一部を集めたアプリがあります。
Icebreakerのネタに困ったらこれを使ってもらってもいい。僕もたまに使います。
ファシリテーターの雰囲気がそのまま会議の雰囲気になる
2つほど会議の雰囲気を作る技を紹介しましたが、大事なことはこれです。
ファシリテーターの雰囲気がそのまま会議の雰囲気になります。
・どんな雰囲気の会議にしたいのか?
・活発に議論する会議なのか、厳かに話を聞く会議なのか?
ファシリテーターは意図して会議の空気を作っていかないといけません。
大事だけど難しい話なので、「世界で一番やさしい会議の教科書」では触れませ
んでした。
ご自分が会議を仕切るようなシーンでは、雰囲気、大事にしてくださいね。
以上です。