どんなに「会議ノウハウの本」を読んでもダメな理由 ~そこのあなた、その会議本読んでもアレですよ・・・~

「世界で一番やさしい会議の教科書」が出版されて早くも数ヶ月が経ちます。いろんな感想を頂きますが、圧倒的に多いのは「 明日から始めようと思います」「現場目線で分かりやすかった。イメージしやすかった」という声。

 

コンサル目線と現場目線

この本を書くまでは、世の中にある会議ノウハウ本はすべてコンサルタント目線であり、現場の目線ではないのだとずっと感 じていました。


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例えば、僕は、コンサルタントとしてお客さんの会議をファシリテーションする時と、いち参加者として(オブザーバー的な立場で会議室の片隅で参加させてもらう感じで)会議に参加する時があります。

実は両者で気を付けることが全然違うわけです。

前者の場合。
「俺、ファシリテーターです。俺が会議をリードするかなら!」的な立場ですから、ある意味ファシリテーションは始めやすい。もっとも「コンサルタント?何をやってくれるわけ?」という感じだから求められるものも高いけど、ファシリテーションを始めるハードルは低いのです。むしろ派手で目を引くようなことをやった方がウケるかもしれない。

一方、後者の場合。
会議を仕切っているのは20年目の課長さん。僕はイチ参加者として参加している状態。会議室にはよくある独特の空気感が漂うあの雰囲気なわけです。
「お前はコンサルか知らんけど、とりあえず座って見とけ」的な状況で、やれることは限られてくるんです。
そんな状況で「課長、あなたの会議はゴール設定がイマイチですな」なんて会議のプロである僕だって言えない。僕は相当言いたいことを言うタイプだと思うけど、それでも無理です(笑

 

普通の会社員は完全に後者の環境にいるわけで、課長の気分を害さないように、しかも周囲から白い目で見られないように、上手く会議を生産的なものしてくのは本当に難しいです。突然ホワイトボードにフレームワークを書いたり、なんて派手なこと出来るわけがない。席を立つのだって難しい空気なんですから。


こんな状況なのに、会議ノウハウの本はフレームワークを使え!なんて書いてある
世にある会議本にはこうした現場感の考慮が決定的に欠けていると思うんです。なぜなら、ほとんどの本がコンサルタントが書 いたものだからです。
(誤解なきよう書きますが、素晴らしい会議の本は多いです。プロである僕が見てもすごく勉強になる本は沢山あります)

今はコンサルタントとして仕事をしている僕ですが、以前はダイワハウス工業というハウスメーカーにいたので、現場の空気感はよくわかります。
僕がいた部門は入社4年目までが8割を占める特殊な部門でした。だから会議はより一層酷かった(笑
入社3年目の先輩が会議を仕切るんだけど、当然グダグダなわけです。
だから(何を決めたいんだよ・・・これって今みんなで話す必要あるのかよ?)なんて生意気にも感じていました。でも先輩 の面目をぶっ潰さずに会議を生産的な場にする知恵は当時の僕にはありませんでした。

同じ会議に出ていた同僚にコソッと「この会議なんとかしろよ、お前が黙ってたら誰もこの会議止められないだろうが」なんて 無茶苦茶な事言われて。それでも「もう10分待てば終わるからいいんだよ。ここで労力使ってられないよ」なーんて切り返して 、黙って我慢していたんです。
なんて切り出せばいいか、本当にわからなかったから。
当時も会議の本は読んでたけど「すいません。先輩、結局何が議論したいんですか?論点を明確にしてください」なんて言えるわけなかったから。

そういう経験をしてきているから「何から始めるべきか?」にこだわり「現場目線」にこだわって本が書けると思ったわけです 。

そして、擬似的に会議を変える成功体験ができる本じゃないとダメだとも思っていました。

 

明日からやれそう!って声をたくさんもらう
冒頭の話に戻りますが、本を読んでくださった方から「明日から早速やってみようと思いました」という声を多くもらいます。
これですよ。
多くのノウハウ本を読むと「勉強になった」という声は聞くけど「実際にやってみたくなった」と、どれだけ の人が言っているか?

さらにこんな声もいただきました。

「うちの会社では無理・・・ウチは部は特殊で・・・うちのPTAでは・・・、というすべての言い訳に効きそう。それくらい丁寧に、何から始めればいいのか書かれているもの」

そうそう。そういう本が書きたかったんです!!ありがとうございます!!と心の中で叫びましたね(笑

 

言い訳の多い方。ぜひ読んで下さい。きっと明日からやれることがあるはずです。そして会議を変えちゃってください!